
六代目ブログ
修理・張替
伝統発信ブログ
受け継がれるモノには理由がある。
受け継がれるモノには理由がある。
こんにちは、六代目彌市です。
昨年、無事に片面の張り替えを成功させた
「青森ねぶた祭」出陣にて打ち鳴らされる大太鼓、
その名も『出世大太鼓』の、
もう1枚、反対面の皮張り替え作業がいよいよスタートしました。
そもそも、なぜ?
遠く青森から、はるばる愛知の三浦太鼓店へ??
このお仕事をお受けするキッカケとなったのが、
三河地域では聞きなれない「東北なまり」の一本のお電話からでした。
———————/
「青森ねぶた」祭りで出陣する、
出世大太鼓の張り替えをやってもらえる太鼓屋さんを探してます。
作ってもらえないだろうか??
———————/
青森ねぶた祭り??
ご存じの通り、巨大なあの「ねぶた」が練り歩く
「日本三大祭り」と称される祭り♪
我々も行ったことはないけれど、
テレビではよく見る世界。
この時点で、
何となく「大きな太鼓」であることはピンと来て、
すぐに
私はお電話口のお相手に「質問」を返しました。
———————/
ちなみに、太鼓の大きさってどれくらいですか??
———————/
すると、
「とーしゃくです!!!」
と、お返事。
「とーしゃく!????」
一瞬、分からなくて考えるわたし。
もしや、
「とーしゃく!????」
って、
「10尺(とーしゃく)!????」
って、事ですか??
そう尋ねると、
そーです!
「10尺(とーしゃく)です!」
これが、『出世大太鼓』の実際のスケールです(笑)
・1972年に製作された「出世大太鼓」。当時日本一の大きさであった。
この時、お電話で聞いた
東北なまりの「とーしゃくです!」の響きは、
今も、私の頭の中で
ハッキリと聞こえてくるんです(笑)
———————/
もちろん!できます!
お任せください!
———————/
と、お返事する訳もございません!!
なぜなら、
そんな大太鼓作ったこともありませんし、
そもそも、
そんな巨大な皮はどうやったら手に入るのか??
分かりません。
ただ、
お電話口から聞こえるその声からは、
切実たる「想い」だけは感じ取れたので、
「断る」こともできず、、、
———————/
お話しだけでもお聞きましょうか??
———————/
と、お伝えしたことがすべての始まりでした。
そうして2022年より始まったこの壮大なプロジェクトは、
その『軌跡』から巻き起こる、
幾多の『奇跡』を生むことになります。
そんなこれまでの「記憶」を「記録」に留めて行く事も、
このお話を伺った当初から絶対に大切なお仕事になる、、、
そう思い、これまでも事あるごとに
書き留めて参りました。
昨年の壮大な「記録」をまだご覧になってない方は、
ぜひ!こちらからご覧ください↓↓
そして足掛け3年に渡るプロジェクトは、
間もなくクライマックスを迎えようとしております。
2025年のこの夏、
『出世大太鼓』出陣50回!という記念の節目。
その記念すべき節目に合わせての張り替え完成を目指してきたのです♪
そもそも、なぜ?
今回、張り替えをしようと思われたのか??
理由は2つありました。
1つ目の理由は、
予備の皮がすべて破れてしまっていること。
そして、
2つ目の理由こそが
このプロジェクトの最大の理由とも言える
『真実』がそこにあったんです。
それは、
さかのぼること約50年前、
この太鼓が誕生した理由にありました。
1972年に作られたこの出世大太鼓。
・1972年に作られた出世大太鼓は、当時日本一の大きさだった。
作られた当時、
『日本一』の大きさであったこの大太鼓は、
ただ、その大きさがデカい!だけではなくて、
その日本一の大きさにこだわる先人たちの『想い』がそこにあったのです。
1972年、と聞いて
どんな年だったのか?ピンと来る方はいますでしょうか??
それは『沖縄』が日本に返還された年なのです。
沖縄が日本に返還される。
それは、
当時の日本の人々にとって最大の望みであり、喜びでした。
そんな喜びを遠く青森から、日本全土に届けたい、、、
そう考えた先人たちは、
『日本一』の大太鼓を作って、、
遠く青森から、日本全土に
その喜びを響かせたい!!
『日本一』のその大きさは、
当時の人々の喜びの大きさだったということです。
ただ、
残念ながら時代は移ろうモノ。
当時の先人たちの『想い』も、
時代と共に薄れていってしまう、、、、
次の時代を担う、
若い人達にどうしたら?
「想いのバトン」を受け継いで行けるのだろうか???
そう考えた結果、
たどり着いた答えこそ!が
大切な太鼓を!
その響きを!『後世』に残すこと!!
だったのです。
私は、私自身の日常である
この伝統の「太鼓屋」という仕事を通して
とても強く感じていることがあります。
それは、
———————/
受け継がれるモノには、必ず『理由』がある。
———————/
ということ。
100年、200年と
受け継がれていくモノというのは、
何となく残されてきたモノは
一つも存在していません。
受け継がれるモノ、
受け継がれるべきモノには、必ず『理由』があるのです。
私は、太鼓屋の六代目として
「太鼓づくり」の技術と同時に、
そんな受け継がれるモノのに宿る「理由」を同時に
受け継いできたのです。
太鼓が受け継がれる理由。
それは、単に『太鼓』という姿カタチが大切ではなくて、
それは、人の心を響かせ感動があること。
すなわち、
我々が受け継ぎ作り続けてきたモノは、
「和太鼓」というモノではなくて、
———————/
人の心を響かせる感動
———————/
作り続けてきたという事なのです。
なぜなら
それこそが、受け継がれるモノの真実だから。
単に太鼓というモノを作っているのか?
人の心に響かせる感動を生み出そうとしているのか?
そこに立ち向かおうとする
姿を見てもらえたら見えてくる景色があるはずです。
形あるモノは、
いつか終わりが必ず来るのモノ。
でも、
人の心に灯された確かな『光』は、
聖火のバトンリレーのように
次の誰かへと、つながり灯されていく。
そうやって、
我々日本人は、先人たちの『想い(魂)』のバトンを受け継いできたのです。
長きに渡るプロジェクトも
いよいよクライマックスです。
受け継がれるモノには『理由』がある。
受け継ぐべきモノを、受け継いで後世に託すこと。
2025年8月
青森ねぶた祭、出陣にて!
新たに産声をあげる感動の響きを
再び日本全国へと響かせたい!!
今日も素敵な一日を(^_-)-☆
お問い合わせ・資料請求
お問い合わせご質問は、商品に関する事・価格に関する事
どんな事でも結構です。お気軽にお問い合わせください!
下記フォームにて24時間いつでもお気軽にどうぞ!
お電話でのお問い合わせは、営業時間内で承ります。