六代目ブログ
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太鼓のために、『牛』から育てる!?
こんにちは、六代目彌市です。
我々、三浦太鼓店の「本業」は、
祭りの中心、
祭りに欠かすことができない「音」を作るというお仕事。
実は今回、
これからお話しさせていただく事というのは
その祭りに欠かせない音作りの話しのなかでも、
特に、深いお話しです。
普通のお話しじゃないだけに、
私も、脳みそフル回転で書きますので
分かりにくい表現や、間違った記述もあるかもしれませんが
お許しくださいm(__)m。
太鼓のために、『牛』から育てる!?
~絶やすな!青森ねぶた伝統の『音』~
さっそくですが、みなさん!
この巨大な太鼓ご存じでしょうか↓↓
・青森ねぶた『出世大太鼓』/株式会社藤本建設所有
実は、コロナ禍3年目の夏を迎えようとする
2022年7月
遠路はるばる青森県より、
この青森ねぶた伝統の大太鼓
『出世大太鼓』を所有される株式会社藤本建設の社長さんと社員さんが
困っていることがある、、、
三浦太鼓さんに相談に乗ってもらいたい、、、
と、遠く愛知まで
たくさんの太鼓の資料をお持ちになり、
ご相談に、訪ねて来られたのです。
・遠路はるばる青森から!藤本建設さんがご来店。
実は、わたし
来られる前から相談の内容は、だいたい予想がついていました。
なぜか?というと
それは、
この出世大太鼓の『大きさ』を見てもらえれば一目瞭然なのです( ;∀;)
・太鼓打面の直径3.1メートル。
太鼓の大きさを表現する『尺貫法』で言えば、
10尺!!
※10尺からは正確には単位が変わり1丈と呼ぶらしい。
とんでもない大きさなのです(≧▽≦)
ちなみに、
我らが誇る岡崎の『味噌六大太鼓』!
この太鼓の大きさは
直径が2メートルの6尺6寸!
・藤本建設さんにも味噌六太鼓見てもらいました♬↑
さて、話しを戻して
今回のご相談というのが、、、
そう、
この大太鼓!
あまりの大きさだけに『皮』を張り替えることができないないのです。
大きいから、『技術』がないとか
それだけ大きい太鼓を作った、『経験』がないという話ではありません。
そもそも、このサイズの太鼓にできるだけの
『皮』がないのです、、、
みなさん、そもそも太鼓の『皮』って何で作られているか
ご存じでしょうか??
昔から主に『牛』や『馬』の皮を使っているのですが、
『和太鼓』ですので、
当然、外国から皮を入手しているのではなく、
私たちが日々、『お肉』として
有り難く頂いている『肉牛』の皮を使って作られています。
その『肉牛』、
現代の私たちは一体何歳くらいの牛さんのお肉をいただいていると思いますか??
正解は、2~3歳なのです。
・太鼓の皮は2~3歳の肉牛の皮。
ここから、さらに学びのお時間です。
3~4歳という年齢、
実はまだまだ年齢からしたら『子牛』なのですが、
それでも『お肉』として頂くには、
現代では牛を効率的に『太らせるため』の餌が開発されているので
十分に食として『いただける』お肉は育つそうです。
ただ、先にも言った通り、
お肉は育っても、まだまだ『子牛』。
そこが、大きな太鼓製作するにとって大きな問題でして
2~3歳の牛さんの皮では、
大きな太鼓を作ることができないのです。
我々も、過去には最大で
7尺7寸というサイズ(直径約2.3メートル)
というサイズの大太鼓の皮を張り替えた経験こそありますが、
この時も、
1年以上探しにさがして、、、、
ようやく巡り合えた東北の赤毛『短角牛』だったんです。
・東北、赤毛の『短角牛』。やはり3~4歳の肉牛の皮。
この時も、
当然『1枚』ではサイズが足らなくて、、、
打面には影響のない部分となる端っこを
『6か所』も継いで、、、
それで何とか太鼓にできたのです。
・打面に影響の出ない端っこを継いでいく作業↑↑
この時の経験から、
最大でも、2.3メートルくらいが限界だな、、、
そう思っていたので、
今回のお話が来たとき、
正直、『素材』として皮がない以上、
今回ばかりはどうしようもない、、、
そう思っていました。
当然、藤本建設さんも
そのことは深く理解されていて、、、
現在の『皮』に限界を感じ始めていた
この約10年ほど、、ずっと
全国の太鼓屋さんへ訪ね歩いてのご相談でした。
ここで、一つの疑問が、、、
この太鼓が作られているということは
当時は、皮が入手できたはず、、、
出世大太鼓が作られた当時は
どうされてたのですか??
そう尋ねると、
この太鼓が作られた昭和47年当時、、
なんと、
この太鼓用に特別に『牛』を育てて太鼓にした事が分かり、、、
いよいよ今回も、
『牛』から育てて太鼓にできないか??
というご相談だったんです。
※当時育てられた特別な肉牛は、その後
お肉としてきちんと頂戴されたそうです。
これは、とんでもない
スケールの話しになってきました(≧▽≦)
そもそも、
なんでこんな大太鼓が作られたのか??
昭和47年というのは、
『沖縄返還』の年。
日本中で、沖縄返還に対する
お祝いの気運が高まり、
遠く青森から、日本に元気を響かせたい!
と、、、
先人たちの知恵と努力で
当時『日本一』の大きさとなる、
出世大太鼓は誕生したそうなのです。
太鼓にかける、その想いも
祭りにかける、その願いも
十分に理解できた上で、
今回のプロジェクト。
さて、我々のまずできることは何か??
そう考えたとき
『牛』を育てる
という、新たなるミッションをいただき
まずは、大太鼓にするために牛を育ててもらえるのか???
互いに畜産家を訪ねて行きましょう、、、
という話で、
ひとまず打ち合わせは終了いたしました。
今回の話は、ここまで、、、
と、
言いたいところですが、、、
実は、この話には、
まだつづきがありました。
これまで、
畜産家の方とのつながりもなければ、
知り合いもいない、、、
そんな中、
ひょんなキッカケで、とある方を通して、
長崎県にて、畜産業を営まれる
『森川畜産』の森川さんをご紹介いただくことに、、、
そこで、今回の案件の
お話をさせてもらったところ、、、
大きい『皮』うんぬんの話じゃなくて、、
・大切な『いのち』の循環であること
・畜産を通して気づかされる現代社会の不の連鎖
あらためて、
・気づかされること、
・考えていかなければならないこと、、、
便利な日常の裏には、
本当に様々な苦労や課題を抱えている方がいて、
そこから、決して
目を背けてはならぬことを知りました。
今回は、さすがにその先まで
深堀してしまうと、、
お話がまとまりきらないのでここまでですm(__)m
何はともあれ、
祭りとは、、
『祈り』と『感謝』を忘れぬためにあること。
そして、
大切ないのちの循環であること。
あらためて、
今回の件で私は学ばさせていただきましたので、
自分自身の生業を通して、
これからできること一つずつ行動していきたいと思います。
最後に、
森川畜産さんから、『ふゆこの出荷』という
動画をご紹介いただきました。
そもそも我々の作る、
太鼓の『音』というのは
大切な命の響きであること。
そのことに感謝して、
今日も、人々の『喜び』がつながる音づくり
真摯に向き合っていきたいと思います。
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