六代目ブログ

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懐かしい匂いがした。

懐かしい匂いがした。

 

こんにちは、六代目彌市です(^^)/

 

三浦太鼓店といえば、『桶太鼓』ですよね!!

 

最近では、ありがたいことに世間から

そう言っていただける事が増えた我々の『桶太鼓』。

 

そんな『桶太鼓づくり』に欠かせないのが、

太鼓の胴体にあたる「桶胴」なのですが、

 

私には、そんな「桶胴づくり」を教えてくれた

大切な大切な師匠が2人いるのです。

 


・『桶太鼓づくり』に欠かせない「桶胴づくり」。

 

 

残念ながら、今では

お2人とも遠くのお空へ旅立たれてしまったのですが、

 

今日は、そんな大切な師匠の一人である

永谷さんの命日でした。


・令和三年三月十二日86歳 永谷さん永眠。

 

 

これまた、偶然なのか

神様からのお導きなのか、、、

 

今日、とある地域からお預かりした桶太鼓を修理していたら、

なんとその桶は師匠「永谷さん」が手がけられた古い桶!!

 

古くなったその桶にカンナをかけ直して行くと

懐かしい!師匠の工房の『香り』が蘇ってきて、、、

 

一瞬にして、修行時代が

フラッシュバックしてきたんです♬

 

 


・懐かしい師匠の工房の香り

 

 

大切な人から受け継いだ大切なモノ。

 

今日は、どれだけ時が経とうとも

忘れてはいけない大切なことを、忘れないために、、、

 

自分自身への戒めを込めて

師匠に届けたいと思います♬

 

豪快だけど、優しな『手』

 

 

まずは、

ちょっと、この一枚の写真を見てほしい
↓↓↓


・タガの編み方を教わるために撮った写真。

 

 

これは、師匠永谷さんから

「タガ」と呼ばれる竹の編み方を教わるために私が撮った写真です。

 

でも、実は、

この写真を撮るとき、

 

私はもう一つの目的があって

この写真を撮っていたんです。

 

もうすでにこの写真を見て

何か感じていただけている方もいると思いますが、

 

この写真を撮ったもう一つの目的、

それは師匠の「手」。


・豪快だけど優しな手。

 

 

師匠の、仕事っぷりは

職人ならではの繊細さ!というよりも

どちらかと言えば豪快!な人でした。

 

あまり「豪快な職人」と聞いてピンと

来ないと思いますが、、、

 

80歳を越えた老人がやる作業と思えないほど

アクロバティック!な職人技で、

胴の上にひょいっ!と乗って「タガ」を入れるのです(笑)


・タガを入れる師匠⤴まさにアクロバティック!

 

これが80歳を越えた老人には見えませんよね( ;∀;)

 

最初にこの姿を見た時!

流石にバランスでも崩して

太鼓から落ちたら怪我をしてしまうのでは、、、と

 

とても心配したのですが、、、

 

そんな私の心配をよそに、

師匠は淡々と作業をこなしておりました。

 

元気!

とはこの人のためにある言葉のようで、

 

とにかく声も大きくて!よく食べて

まさに豪快な人でした♪

 

 

そんな豪快な生き様の師匠でしたが、

 

唯一!

豪快だけじゃない部分を感じさせるところがあったんです。

 

それが、先ほど見ていただいた師匠の手。

 


・豪快だけど優しな手。

 

 

人の『手』というのは、

その人の『人生』『生き様』そのものがにじみ出るのですね。

 

私は、師匠の

竹を包み込むように優しく握る手を見たとき、

 

私自身の心も、優しく包み込まれたような感覚だったことを

今でも鮮明に覚えています。

 

すべてを包み込んでくれるような、

そんな師匠の「生き様」の中で、

 

師匠は、私のような若造に

大切な「道具」と共に、すべてを与えてくださったのです。

 

 

 

桶づくりには、

特殊な「カンナ」を多用するのですが、

 

中でも、扱う職人の腕が

「正直」に現れるという意味から

「正直カンナ」と呼ばれる特殊なカンナがあるのですが、

この何より大切な道具を師匠から形見として受け継いでいるのです。

 


・桶づくりにおいて重要な役割を担う「特殊な正直カンナ」。
師匠から譲り受けた大切な形見

 

 

修行時代に、

ある時、師匠がこんな話をしてくれたんです。

——————–/

師:

おまん、桶をこしゃる(作る)なら正直カンナがいるやろ?

これ持ってけ。

 

私:

いいんですか?

こんな大切な道具をお借りして、、、

 

師:

おおええよ、

いつか、ワシが死んだら、

その時は母ちゃんにちょっとばかりのお礼を渡してくれたら

おまんがそれを使えばいい。

——————–/

 

あの頃は、半分冗談のように会話してましたが、

そんな大切な師匠との時間は、残念ながら長くは続きませんでした。

 

 

あらためて思うんです。

そもそも、私がなぜ?『桶づくり』をやりたいと思ったか?

 

それは、そこに守るべき『本物の技(音)』あったから。

 

そして、

その『本物の技(音)』を守り続けてきた人に出会ったとき、

 

そこには、まぎれもなく

『本物の生き様』がありました。

 

そして、人の生き様というのは、

その人の「手の中」に現れるのです。

 

 

今、時代は、大きな転換期を迎えています。

 

本当の豊かさとは何か?

本当のしあわせとは何か?

 

誰もが迷い、もがき苦しんでいます。

 

時々、私自身も、

迷い苦しむことがあります。

 

そんな時、ふと師匠から譲り受けた

この『正直カンナが私に語り掛けてくるのです。

 

 

職人の腕が『正直』に出るから、

正直カンナという由来のあるこの道具。

 

きっと、それは

使う人の腕だけじゃなくて、

心もブレていたら、この道具を正直に扱う事はできなくなるでしょう。

 

そうならないように、

大切なことを見失わないようにと、

 

師匠は、何より一番大切な道具を

私に与えてくださったのかもしれません。

 

 

永谷さん安らかに。

師匠への敬意と感謝を込めて。

 

今日も素敵な一日を(^_-)-☆

 

この記事を書いた人

  • 三浦 和也(六代目彌市)

    三浦 和也(六代目彌市)

    (昭和55年1月25日岡崎生まれ。AB型。和太鼓零〜ZERO〜代表)
    和太鼓と嫁に年中夢中!
    実は、長男ではなく次男坊。幼い頃は太鼓も親父も嫌いだった私が太鼓に目覚めたのは24歳の時。
    敷かれたレールが目の前になかったからこそ、今描ける野望は和太鼓を通して、世界を救うこと!4人の息子たちもみんな太鼓打ち!受け継いだ大切な「伝統」を後世へとつないでいきたいと思っています。

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