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師匠が僕に教えてくれたこと
こんにちは、慶さんです^ ^
三浦太鼓店で僕は今、塗装作業をさせてもらっています!
でも最初から塗装をしていたわけではありません。
六代目には桶の師匠、たくちゃんにはカバー作りの師匠がいるように
僕にも塗装の師匠がいます
今日は僕が今こうして三浦太鼓店の塗装をやらせてもらえるようになるまでの事を
少し書かせていただきたいと思います^ ^
僕が三浦太鼓店に入った頃、仕事と言えば
桶、締太鼓、長胴太鼓の革作り革張りがメインで
桶作り、カバー、塗装などは全て外の職人にお願いしていました。
当時は五代目、六代目、しほ、僕の4人だけの三浦太鼓店。
当時やっている作業だけでも人手が足りないほどでした笑
そんな中、今でも忘れません!
約5年前のある日の朝礼で六代目から急に言われました。
しろちゃん、塗装やるから^ ^
…??
えっ!?
僕ですか!?
理解するのに十数秒。
今まで塗装のとの字もやった事がなく
色ぬりなんて、中学の写生大会が最後ぐらいです。
不安だらけの中、気づいたら師匠のところに何もわからない状態で送り込まれていました。笑
僕の師匠は家具塗装の職人で、木材塗装のスペシャリストでした。
しかしある日、病気が見つかり仕事を辞める事を決めていたそうです。
廃業までの少しの時間だけでも僕に技術を教えてくれると言ってくださいました。
しかーし!
師匠は昔ながらのthe職人!
手取り足取り教えるなんてことはありません!
よろしくお願いします!と門をくぐったら
とりあえずコレ読んで。
と、渡された1枚の紙。
??
もらった時は自分で書いたメモ書きはない状態でした。
15行ほど書き込みがあり、塗装のすごく、すごく
すーーーっごく大まかな流れが書かれていました。
それでも僕にとっては初めて聞く言葉ばかり。
20秒もあれば読めてしまう内容でしたが
2、3分熟読したのを覚えています。笑
読んだ??
じゃあやろか。
そこから太鼓や台の塗装を一通り見せていただきながら手伝わせていただきました。
こんな感じだから、わかった?
.....。
初めてだらけの僕には全然わかりませんでした笑
今やっている作業はなんのための作業なのか
この塗料はなんなのか
程よい程度がどれほどのものなのか
そもそもわからない言葉だらけ!
でも、与えられた少ない貴重な時間。
何とか自分のものにしようと
わからない言葉は全てメモに残し
師匠の手元をビデオで撮影し
道具の使い方を触りながら覚えました。
家に帰ってから、わからなかった言葉を調べ
塗料の種類、使い方を調べ
師匠にもらった紙を元に自分なりの塗装マニュアルを作りました。
慣れるまでは、いつもこの資料にかぶりつきながら作業していました(´-`)
もし、最初から師匠が1から10まで丁寧に教えてくださっていたら
昔の僕はここまで自分で考えて動けていなかったと思います。
あの1枚の紙にはそんな師匠の親心が詰まっていたのかもしれません。
それからは店で革作りもしながら、時間が作れる時は
師匠のところへ修行に行く日々!
少し作業ができるようになってくると
一人でやらせてもらえる事も増えてきました。
でもその当時は、教えてもらった事ができるようになっただけ。
少しイレギュラーな事が起きたりすると
一人では何も対応ができません(*_*)
常に師匠の意見を聞きながら試行錯誤でした。
そんな日々が1、2ヶ月ほど続いていると
なんと師匠の工場の取り壊しが決まったと告げられました。
!!
つまり、師匠の元で修行できるのもあとわずか。
早すぎる…
いつかは来るとわかっていましたが、いざ目の当たりにすると込み上げてくる不安。
これからは1人だけでやっていくことになる。
残り少ない時間、とにかく頭と身体に叩き込みました。
作業の音、ニオイ、スピード、温度
師匠の中にある“感覚”というものを
自分の感覚にできるように。
あの時はとにかく必死だった事だけ覚えています。
限られた時間でやれる事はやりました。
後は経験していくしかない!
それから間も無く、師匠の工場は取り壊されました。
もう戻れません!
いただいた道具を持って、現三浦太鼓店秘密基地に引っ越しです!
当時、秘密基地には僕1人だけ。
慣れない環境、
全て1人でやる作業、
機械類の不調、
塗料との格闘。
師匠の元では起こらなかったようなアクシデント。
上手くいくことの方がまれ。
それでも迫る納期。
この時は生きた心地がしませんでしたね笑
僕は毎日のように師匠に電話をしてました。
師匠はいつも細かく指摘・アドバイスをしてくださり、何度も何度も助けていただきました。
そんなある日、古い欅胴の修理依頼が入りました。
かなり古く、ボロボロでヒビ割れだらけ。
当時の僕はそれをキレイにする技術も知識もなく、師匠に相談の電話を入れました。
すると師匠は
作業場に行くから、一緒にやろか。
体調も良くないなか、わざわざ秘密基地まで来てくださいました。
久しぶりに見る作業する師匠の手元。
どんどん出てくる知識の量。
少し塗装と言うものがわかってきたからこそ感じることのできる
師匠の技術の凄さ、何事にも対応する知識量。
改めて師匠の偉大さを感じる事ができた日でした。
作業も終わりご自宅まで送っていく車中、
師匠は塗装以外の事も教えてくれました。
師匠はいつも奥さんと一緒でした。
何をするにも母さん母さんと、本当に仲良し。
そんな師匠から、
子育てをする時は2人で子供を怒ってはいけないよ。
1人はしっかり叱ってやりなさい。
もう1人はその後しっかりケアしてあげるんだ。
叱ると悪者みたいになっちゃうけど
ちゃんともう1人が何で今叱られたのか教えてあげれば、叱った人の気持ちも伝えてあげたら
ただの悪者にはならんからな。
奥さんと仲良くやっていけよ。
師匠の奥さんへの愛情、子供への愛情
すごく暖かい言葉でした。
自宅へ着くと
また困ったら作業場行くから、連絡入れなね。
ありがとうございます!
またよろしくおねがいします!!
不安の中で仕事をしていた僕には本当に心が救われるような言葉でした。
その別れが
師匠と僕の最後の別れでした。
それから間もなくして
師匠は天国へ旅立って行きました。
あの日から5年経ち
僕もできる作業が増えてきました。
いろんな色を使ったり、
デザインを入れたり
古い太鼓をリメイクしたり。
でもその基礎になっていることは
全て師匠の教えてくれた事です。
困ったときは今でも師匠から学んだマニュアルを見ます。
あの時、短い期間でしたが
本当に濃い時間を過ごさせていただいたおかげで
今の僕、今の三浦太鼓店があります。
まだまだできない事も
至らないところも本当にいっぱいあります。
お客様により良いモノを届ける為に
師匠の顔に泥を塗らないた為にも
これからも、より精進していきます!
師匠、本当にありがとうございました。
形見でもあるスプレーガンは壊れてしまっていますが、今でも作業場に置いてあります。
師匠のいる所まで響くような良い太鼓作るので、
楽しみにしていてください!
本当にありがとうございました
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